2020年1月12日日曜日

ロール曲げ加工の(曖昧な)専門用語について

ロール曲げ加工に関する専門用語がいくつかあります。中には正式な用語ではなく、職人たちが長年使ってきた曖昧な言葉が含まれることもしばしばです。



Φ(まる、ふぁい、ぱい)
直径のこと。ギリシャ文字のΦ(ファイ)に似ているのでPCではΦで表すことが多い。
円周率のπとの混同からなのか、ぱいと呼ばれることが多い。

R(あーる)
半径のこと。英語で半径を意味するRadiusの頭文字。

L寸(えるすん)
パイプでいう長さのこと。英語で長さを意味する(Length)の頭文字。

高さ(たかさ)
L寸と同じ。工場のタンクなど、垂直に設置される状態を想定するとイメージしやすい。

H(えいち)
恐らく高さ(Height)の頭文字から来ていると思われる。

継目(つぎめ)
板を曲げてパイプ状にした時の円の繋ぎ目のこと。

R曲げ(あーるまげ)
完全な円ではなく、半円など任意の角度分だけ曲げる加工。

長手(ながて)、幅(はば)、L(える)、長さ(ながさ)
4つとも人によってL寸を意味したり円弧を意味したりする。誤解が生じやすく、特にR曲げの場合は曲げ方向が違ってしまうので非常に注意が必要。なお余談だが、Hという記号を使っている人の中には、Hは幅(Haba)の頭文字だと思っている人もいるかもしれない。

表(おもて)、裏(うら)
パイプ形状をイメージして、一般的には外径面が表、内径面が裏になる。ただし、R曲げの場合は外径面が製品の裏側に隠れることもあるので、どちらが表でどちらが裏なのか誤解が生じやすい。曖昧さがない表現としては、外径面・内径面や、外R側・内R側などの呼び方がある。

リング曲げ(りんぐまげ)
指輪のようなリングをロール曲げで作るという意味で使う人と、円盤のようなリングをフランジ曲げで作るという意味で使う人がいる。誤解を生じやすいので使わない方が無難。

パイプ曲げ(ぱいぷまげ)
パイプを曲げるという意味で使う人と、板を曲げてパイプを作るという意味で使う人がいる。前者の方が一般的な使われ方なので、ロール曲げを意図してのパイプ曲げという呼び方はしない方が無難。

半割(はんわり)
一般的にはパイプを半円2つに割った形状のことを指す。

縦割り(たてわり)、横割り(よこわり)
横に寝た状態のパイプをイメージしているのか、垂直に立った状態のパイプをイメージしているのかによって意味が変わってしまう。半割を意味する場合と、L寸を分割する場合と、両方が考えられるので注意。



長く業界に携わっている方ほど自分の呼び方が当たり前だと思っているので、誤解が生じやすくなります。加工間違いを防ぐためには、できるかぎり簡単でも良いので絵を描いて曖昧さを無くすことが必要です。

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