2023年7月25日火曜日

夏季休業日のお知らせ

山十佐野製作所の夏季休業日は

2023年8月11日(金)~2023年8月16日(水)

となります。何卒よろしくお願いいたします。

2023年7月1日土曜日

ロール曲げ可否自動判定APIの無償公開

山十佐野製作所のロール曲げ可否自動判定で使用しているAPIを無償公開いたします。

認証について

APIの認証にはGoogle Firebaseを使っています。

最初にhttps://yamaju-api.de.r.appspot.com/にアクセスしてAPIアカウントを作成し、APIキーを取得してください。

APIの使用方法

https://yamaju-api.de.r.appspot.com/v1/plbend にGETリクエストを送信することで利用することができます。

パラメータ

ys: yield strength / 降伏点・0.2%耐力

ベンディングロール機械メーカーから提供された値を使用しています。

製鉄メーカーの仕様書の機械的性質とは異なりますのでご注意ください。

今のところサポートしているのは以下の値です。(アルファベット順)

A1050255
A5052294
A5083294
C1020255
C1100255
C2801412
HITEN590637
HITEN780872
HITEN980872
S-TEN1255
S-TEN2352
S45C392
S50C415
SA-387 Gr11 CL2552
SB410343
SB450372
SB450M392
SB480392
SB480M411
SGV410343
SGV450372
SGV480392
SLA235A275
SLA325352
SLA360392
SLA410450
SM400323
SM490392
SM490Y412
SM520412
SM520C412
SM570510
SMA400323
SMA490392
SMA570510
SPHC294
SPV235255
SPV315352
SPV355392
SPV410450
SPV450490
SPV490540
SS330255
SS400255
SS490343
SS540431
SUS304294
SUS310S294
SUS316314
SUS316L268
SUS329J3L659
SUS329J4L645
SUS444441
TP270255
TP340314
WEL-TEN590RE637

t: thickness / 板厚

サポートされている板厚は以下の通りです。

1.6
2
2.3
2.5
3
3.2
4
4.5
5
6
8
9
10
12
14
15
16
18
19
20
22
25
28
30
32
35
36
38
40
45
50
55
60
65
70
75
80
85
90
95
100

h: height / 高さ(円筒の長さ)

高さ(円筒の長さ)を正の整数で指定してください。(弊社で一番大きな機械の幅が3mなので、それ以上の値を入れても不可の判定しか出ません。)

d: diameter / 直径(内径Φ)

曲げ径を正の整数で指定してください。

a: angle / 曲げ角度

R曲げを判定したい場合、曲げ角度を0 < a < 360で指定してください。

(例えば半円曲げの場合は180)

円筒曲げ(1周)の場合は省略してください。

scf: spring back coefficient / スプリングバック係数

スプリングバックが激しい材質の時に任意で0 < scf < 1の値を指定してください。

例えば弊社ではチタンの場合に0.6と指定しています。

key: API Key

取得したAPI Keyを指定してください。

API Keyを忘れてしまった場合はhttps://yamaju-api.de.r.appspot.com/にログインして確認できます。

返り値

5種類の機械での可否判定がJSON配列として返ってきます。

1台ごとに、端曲げができるか、余長付きなら曲げられるか、幅が広過ぎないか、弧長が短過ぎないか、がtrueかfalseで示されています。機械の順番は以下の通りです。

1台目:MP230-2230

2台目:MJ25-0315

3台目:MP230NC-6005S

4台目:MP100-1130

5台目:MJ30TNC-0525

APIの使用例

例えば

SS400 t4.5 内Φ500 高さ800 のロール曲げ可否を調べたい場合は、

https://yamaju-api.de.r.appspot.com/v1/plbend?ys=255&t=4.5&d=500&h=800&a=&scf=1&key=[取得したAPI Key]

にリクエストを送ると、

[[false,false,false,false],[false,true,false,false],[false,false,true,false],[true,true,false,false],[true,true,false,false]]

という値が返ってきます。これは、

1台目:MP230-2230

端曲げ×、余長付き曲げ×、幅は大丈夫、弧長も大丈夫 → 不可

2台目:MJ25-0315

端曲げ×、余長付き曲げ〇、幅は大丈夫、弧長も大丈夫 → 余長付きなら可

3台目:MP230NC-6005S

端曲げ×、余長付き曲げ×、幅が広過ぎて機械に入らない、弧長は大丈夫 → 不可

4台目:MP100-1130

端曲げ〇、余長付き曲げ〇、幅は大丈夫、弧長も大丈夫 → 可

5台目:MJ30TNC-0525

端曲げ〇、余長付き曲げ〇、幅は大丈夫、弧長も大丈夫 → 可

という判定です。

最後に

元々は町工場が自社サイト用に片手間で作ったものですので、至らない点が多々あるかとは思いますが、無償公開ということでご理解いただけますと幸いです。

人手不足の時代となり、設計や見積りにますます自動化が求められると考えています。そのような中で、ロール曲げに関する効率化の一助となればと思い、無償公開に至りました。使用方法で不明な点があればお問い合わせいただけますと幸いです。


2023年6月10日土曜日

テーパー管の当て板ロール曲げ

 テーパー管(コーン、レジューサー)をロール曲げで製作することが可能ですので、その一部である当て板もロール曲げで製作することは可能です。

(参考記事:テーパー管(レジューサー/コーン)はロール曲げできますか? 陣笠は?

まず、通常の(筒状の)テーパー管の展開図は下図のようになります。

わかりやすいように40分割で曲げ線を描いてみました。

ここで、1/10円分(=36度分)の当て板を製作したいとします。

1/10円分ですので、40分割したうちの4個分がその展開板になります。

この板を通常のテーパー管と同じ要領で曲げれば当て板の完成です。

さて、極まれに「わざわざ展開して扇板をレーザーで切断すると材料費が高くなってしまうので、単純な長方形の板でテーパー管の当て板を作りたい」という要望があります。実現は不可能ではありませんが、手間がかかって加工費が高くなる割に精度が出せないため弊社ではおススメしておりません。

以下、理由を説明します。

まず、先ほどの1/10円分と同じような大きさの長方形を用意するとします。

板が長方形であろうとテーパー管の形状に曲げるための曲げ線は変わりませんので、下図のようなケガキを描き入れることになります。

ここで、扇の板からテーパー当て板を曲げる場合と、長方形の板からテーパー当て板を曲げる場合の違いを見ていきます。

扇の板の場合、それぞれの曲げ線に注目すると、どの曲げ線をみても板の端面(パイプの口になる部分)と曲げ線がほぼ直交していることがわかります。(※扇は直線ではないので厳密には直交ではありませんが、無限に拡大していけば90度で交わっていると言えます。)

これらの曲げ線が3本ロールのシリンダーと常に平行になることを意識して曲げていくと、曲げ線に対して常に対称に曲がっているので、端と端が近づいてテーパー管の形状になっていきます。

一方で長方形の場合、板の真ん中のケガキ線で曲げる時は3本ロールのシリンダーと板の端面が直交しますが、それ以外の時は直交しないことがわかります。特に、板の端に行けば行くほど90°からずれていきます。

これらの曲げ線が3本ロールのシリンダーと常に平行になることを意識して曲げていくと、板はねじれるように曲がっていき、板の両端がくっ付くどころか逆に離れていってしまいます。

なお、今回わかりやすく説明できるように扇の板にも曲げ線を入れましたが、慣れてくると板を見れば扇の中心がどこなのか頭の中でイメージできるので(扇の両端の線が交わるところが中心)、ケガキ線もイメージできるようになってきます。そうなると、ケガキをしなくても曲げられるようになります。

一方で長方形の場合は、板を見てもどこが扇の中心なのかわからないので、寸法を計算して実際にケガキを入れる必要があります。

つまり、長方形の板でテーパー管の当て板を曲げようとすると、

① 板にケガキを入れるという余計な手間がかかる(コストが増える)

② ねじれが加わって上手く曲がらない(精度が出ない)

という問題が発生するのです。

以上から、弊社ではテーパー管の当て板を長方形の板で曲げることはおススメしておりません。しかしながら、精度は気にせず、曲げ加工費が増えてもレーザー切断費が増えるよりマシだというケースもあるかと思います。そのような場合にはご要望にお応えしておりますので、ご相談いただけますと幸いです。






2023年3月24日金曜日

分割すればロール曲げできるようになりますか?

 以前にロール曲げの可否についてこれ、ロール曲げで曲がりますか?という記事を書きました。「残念ながら曲げられません」となった時、よく聞かれるのが「分割すれば曲がりますか?」という質問です。答えは分割の仕方によります。
 例えば円筒形状を2分割にする方法は下図のような2通りがあります。1つ目は半円を2個にする方法で、もう1つが幅を半分にする方法です。


 結論としては、これらの2つの分割方法のうち、分割することによって曲げられる可能性が出てくるのは右側の分割方法(板幅を分割する方法)のみです。なぜでしょうか?

 これ、ロール曲げで曲がりますか?の記事より、ロール曲げできない理由は以下のようにまとめられます。

板形状に関すること
 ①板の幅が広過ぎる
 ②板が厚過ぎる
 ③板の長さ(弧長)が短過ぎる

曲げ形状に関すること
 ④直径が小さ過ぎる

機械の能力に関すること
 ⑤機械の力が足りない

 これらの要因のうち、板を分割することで変えられるのはどれでしょうか?

 まず板形状に関して、②の板厚は変更できません。また、分割しても④の直径は変わりません。③の板の長さ(弧長)は変えられますが、分割したらさらに短くなってしまうので逆効果です。
 一方で①板幅が広過ぎて機械に入らない時は、幅を分割して短くすることで機械に入るようになれば曲げられる可能性は出てきます。しかしこの時点ではまだ可能性です。機械に入るようになった上で、⑤機械の力が足りるのかどうかも確認する必要があります。

 さて、⑤機械の力が足りるのかどうかについて考えていきます。ロール曲げで板を曲げる仕組みはプレスブレーキと同じ仕組みです。「端だけ曲がらない」のはなぜ? ロール曲げに必要な力とはで紹介したように、プレスブレーキで板を曲げるのに必要な曲げ圧力は以下の計算式で求められます。


 この式から、曲げるのに必要な力について以下の4点が言えます。

 1)曲げ板幅(L)に比例する。
 2)板厚(t)の二乗に比例する。
 3)材料の引張応力(σ)に比例する。
 4)Vダイの幅(V)に反比例する。

 され、これらの要因のうち、板を分割することで変えられるのはどれでしょうか?

 板をどう分割しても2)板厚と3)引張応力は変わりません。また、3本ロールの場合は4)Vダイ幅はボトムロール間隔ですので変更不可能です。したがって、やはり1)板幅を変えることでしか曲げ圧力は変わりません。曲げ圧力は板幅に比例しますので、板幅を半分にすれば板を曲げるのに必要な力も半分に減ることになります。

 では、弧長を半分にしたら(半円にしたら)どうでしょうか?

 計算式に弧長が存在しないことから、半円にしても、1/3円にしても、もっと細かく分割しても、曲げ圧力は全く変わらないことがわかります。

 以上より、

 1枚ではロール曲げできない時、弧長を分割しても曲げられる可能性は全く変わらないが、板幅を分割すれば曲げられる可能性は出てくる

という結論に至ります。

 全ての円筒形状をロール曲げすることができず大変申し訳ございませんが、何卒ご了承いただけますと幸いです。

2022年12月15日木曜日

年末年始休業日のお知らせ

山十佐野製作所の年末年始の休業日は

2022年12月30日(金)~2023年1月4日(水)

となります。何卒よろしくお願いいたします。

2022年10月8日土曜日

曲がった板を平らにできますか?

 「曲がった板を平らにしたいのですが、ロール曲げでできますか?」

このようなお問い合わせを時々いただくことがあります。

条件によっては可能です。

種明かしをしてしまいますと、下図のように板を裏返した状態で機械に入れることができればロール曲げで板を延ばして平らに近づけることができます。

理屈はこれだけです。同業他社が見ているかもしれないのにやり方を公開してしまって良いのかと心配される方もいらっしゃるかもしれません。ご安心ください。理屈は簡単ですが、実際にやるのは非常に難しいのです。

普通のロール曲げは平らな板の状態から円筒状(またはアーチ状)に曲げます。この工程は単純な形状であればNC化できていて、自動機械も存在します。

一方ですでに変形した板を平らにする場合は、まず初期条件が不明です。どの程度曲がっているのか、一定のRで曲がっているのか、ねじれはないか、摩耗して板厚が薄くなっていないか、経年劣化で板の性質が変わっていないのか、など、挙げればキリがありません。

板を平らに伸ばす加工は、押した(曲げた)時の板の戻り具合を見ながら押す位置や量を調整したり、曲げる方向を変えたり、数値では表せない”カン”に頼った加工になります。いわゆる職人技と呼ばれるもので、自動化は不可能です(※)。

(※AIが発達すればセンサーと組み合わせることで実現可能かもしれませんが、ニーズに対して割に合わないので誰も開発しないと思われます。)

このように、板を平らに伸ばす加工は実際にやってみないとどこまで平らにできるのかわかりません。極端なことを言えば可否すらもお答えできないため、事前にお見積りすることも不可能です。できるとすれば”これ以上平らに近づくことはない”と判断できるまでの加工時間を見積もることぐらいでしょうか。

新品の板を曲げれば済む話ではありますが、このまま円安と資源不足が続いた場合、在庫不足で板がすぐ手に入らなかったり、高過ぎて予算オーバーになってしまったりといった事情で、既存の板を再利用したいというニーズが増える時代がやってくるかもしれません。

そのような時代に必要な技術力を山十佐野製作所は持っております。今後も社会の役に立てるよう自分たちの技術力を向上させ、またこの技術を次の世代に継承できるよう努力してまいります。

2022年9月10日土曜日

テーパー管(レジューサー/コーン)はロール曲げできますか? 陣笠は?

テーパー管(レジューサー/コーン)は形状によってロール曲げ可能です。陣笠は全く加工できません。

テーパー管がロール曲げ可能なので似たような形状の陣笠もロール曲げできるのではと思われることがありますが、機械の構造上不可能です。

まず、3本ロールでどのようにテーパー管を曲げているのかを説明します。下図をご覧ください。


2つめの画像は真横からみたところです。このように、トップロール(上のシリンダー)を傾けて小径側だけが強く曲がるようにして加工しています。

では同じ方法で陣笠を曲げようとするとどうなるでしょうか?わかりやすいようにトップロールを半透明にしてみました。

ご覧の通り、このままトップロールを下げると陣笠の頂点付近が曲がってはいけない方向に曲がってしまいます。したがって陣笠は3本ロールでは加工不可能です。

では同じテーパー管でも曲げられるものと曲げられないものの差はどこにあるのでしょうか?

テーパー管の小径を徐々に小さくしていくと、やがて直径Φ0mmに近づいて陣笠になります。可能・不可能の境目はそのどこかにあるはずです。テーパーロール曲げが不可能となる条件は以下の通りです。

条件1)小径にトップロールが入らない。

当たり前ですが、トップロールより小さな直径に曲げることはできません。(陣笠もこの条件に当てはまります。)

条件2)小径と大径の差が大きい。

差が大きければ大きいほど、小径側だけを強く、大径側を弱く曲げる必要がありますので、トップロールを大きく傾けなければなりません。しかし、機械の構造上、傾けられる角度には限界があります。

また、傾ければ傾けるほど機械に(油圧シリンダーに)高負荷がかかります。メーカーからは「通常の円筒の2倍~3倍の負荷がかかると考えてほしい」と言われています。曲げに必要な力は大雑把に板厚の2乗に比例しますので、テーパーロール曲げの可否を大雑把に調べたい時は、こちらのロール曲げ可否自動判定で板幅を実際の1.4(√2)倍~1.7(√3)倍で入力してみるという方法があります。ただ、残念ながら正確な可否判定は難しいというのが正直なところです。

弊社にお問い合わせいただいた場合は、過去の加工実績データベースから類似形状を一瞬で検索できるシステムも使って総合的に可否判断をしております。その結果、弊社の3本ロールで加工できないと判断した場合は、協力業者でのプレス曲げ(FR曲げ)でのお見積りを提案させていただいております。

全ての曲げ加工に対応することができず大変申し訳ございませんが、何卒ご了承いただけますと幸いです。