山十佐野製作所の夏季休業日は
2023年8月11日(金)~2023年8月16日(水)
となります。何卒よろしくお願いいたします。
(株)山十佐野製作所のブログです。 静岡県富士市を中心に、富士宮市、沼津市、静岡市、そして神奈川県や東京都、さらには全国のお客様にタンクやパイプを始めとするロール曲げ・製缶加工品を提供しています。 Twitterアカウント @yamajusano
山十佐野製作所のロール曲げ可否自動判定で使用しているAPIを無償公開いたします。
認証について
APIの認証にはGoogle Firebaseを使っています。
最初にhttps://yamaju-api.de.r.appspot.com/にアクセスしてAPIアカウントを作成し、APIキーを取得してください。
APIの使用方法
https://yamaju-api.de.r.appspot.com/v1/plbend にGETリクエストを送信することで利用することができます。
パラメータ
ys: yield strength / 降伏点・0.2%耐力
ベンディングロール機械メーカーから提供された値を使用しています。
製鉄メーカーの仕様書の機械的性質とは異なりますのでご注意ください。
今のところサポートしているのは以下の値です。(アルファベット順)
A1050 | 255 |
A5052 | 294 |
A5083 | 294 |
C1020 | 255 |
C1100 | 255 |
C2801 | 412 |
HITEN590 | 637 |
HITEN780 | 872 |
HITEN980 | 872 |
S-TEN1 | 255 |
S-TEN2 | 352 |
S45C | 392 |
S50C | 415 |
SA-387 Gr11 CL2 | 552 |
SB410 | 343 |
SB450 | 372 |
SB450M | 392 |
SB480 | 392 |
SB480M | 411 |
SGV410 | 343 |
SGV450 | 372 |
SGV480 | 392 |
SLA235A | 275 |
SLA325 | 352 |
SLA360 | 392 |
SLA410 | 450 |
SM400 | 323 |
SM490 | 392 |
SM490Y | 412 |
SM520 | 412 |
SM520C | 412 |
SM570 | 510 |
SMA400 | 323 |
SMA490 | 392 |
SMA570 | 510 |
SPHC | 294 |
SPV235 | 255 |
SPV315 | 352 |
SPV355 | 392 |
SPV410 | 450 |
SPV450 | 490 |
SPV490 | 540 |
SS330 | 255 |
SS400 | 255 |
SS490 | 343 |
SS540 | 431 |
SUS304 | 294 |
SUS310S | 294 |
SUS316 | 314 |
SUS316L | 268 |
SUS329J3L | 659 |
SUS329J4L | 645 |
SUS444 | 441 |
TP270 | 255 |
TP340 | 314 |
WEL-TEN590RE | 637 |
t: thickness / 板厚
サポートされている板厚は以下の通りです。
1.6 |
2 |
2.3 |
2.5 |
3 |
3.2 |
4 |
4.5 |
5 |
6 |
8 |
9 |
10 |
12 |
14 |
15 |
16 |
18 |
19 |
20 |
22 |
25 |
28 |
30 |
32 |
35 |
36 |
38 |
40 |
45 |
50 |
55 |
60 |
65 |
70 |
75 |
80 |
85 |
90 |
95 |
100 |
h: height / 高さ(円筒の長さ)
高さ(円筒の長さ)を正の整数で指定してください。(弊社で一番大きな機械の幅が3mなので、それ以上の値を入れても不可の判定しか出ません。)
d: diameter / 直径(内径Φ)
曲げ径を正の整数で指定してください。
a: angle / 曲げ角度
R曲げを判定したい場合、曲げ角度を0 < a < 360で指定してください。
(例えば半円曲げの場合は180)
円筒曲げ(1周)の場合は省略してください。
scf: spring back coefficient / スプリングバック係数
スプリングバックが激しい材質の時に任意で0 < scf < 1の値を指定してください。
例えば弊社ではチタンの場合に0.6と指定しています。
key: API Key
取得したAPI Keyを指定してください。
API Keyを忘れてしまった場合はhttps://yamaju-api.de.r.appspot.com/にログインして確認できます。
返り値
5種類の機械での可否判定がJSON配列として返ってきます。
1台ごとに、端曲げができるか、余長付きなら曲げられるか、幅が広過ぎないか、弧長が短過ぎないか、がtrueかfalseで示されています。機械の順番は以下の通りです。
1台目:MP230-2230
2台目:MJ25-0315
3台目:MP230NC-6005S
4台目:MP100-1130
5台目:MJ30TNC-0525
APIの使用例
例えば
SS400 t4.5 内Φ500 高さ800 のロール曲げ可否を調べたい場合は、
https://yamaju-api.de.r.appspot.com/v1/plbend?ys=255&t=4.5&d=500&h=800&a=&scf=1&key=[取得したAPI Key]
にリクエストを送ると、
[[false,false,false,false],[false,true,false,false],[false,false,true,false],[true,true,false,false],[true,true,false,false]]
という値が返ってきます。これは、
1台目:MP230-2230
端曲げ×、余長付き曲げ×、幅は大丈夫、弧長も大丈夫 → 不可
2台目:MJ25-0315
端曲げ×、余長付き曲げ〇、幅は大丈夫、弧長も大丈夫 → 余長付きなら可
3台目:MP230NC-6005S
端曲げ×、余長付き曲げ×、幅が広過ぎて機械に入らない、弧長は大丈夫 → 不可
4台目:MP100-1130
端曲げ〇、余長付き曲げ〇、幅は大丈夫、弧長も大丈夫 → 可
5台目:MJ30TNC-0525
端曲げ〇、余長付き曲げ〇、幅は大丈夫、弧長も大丈夫 → 可
という判定です。
最後に
元々は町工場が自社サイト用に片手間で作ったものですので、至らない点が多々あるかとは思いますが、無償公開ということでご理解いただけますと幸いです。
人手不足の時代となり、設計や見積りにますます自動化が求められると考えています。そのような中で、ロール曲げに関する効率化の一助となればと思い、無償公開に至りました。使用方法で不明な点があればお問い合わせいただけますと幸いです。
テーパー管(コーン、レジューサー)をロール曲げで製作することが可能ですので、その一部である当て板もロール曲げで製作することは可能です。
(参考記事:テーパー管(レジューサー/コーン)はロール曲げできますか? 陣笠は?)
まず、通常の(筒状の)テーパー管の展開図は下図のようになります。
わかりやすいように40分割で曲げ線を描いてみました。
ここで、1/10円分(=36度分)の当て板を製作したいとします。
1/10円分ですので、40分割したうちの4個分がその展開板になります。
この板を通常のテーパー管と同じ要領で曲げれば当て板の完成です。
さて、極まれに「わざわざ展開して扇板をレーザーで切断すると材料費が高くなってしまうので、単純な長方形の板でテーパー管の当て板を作りたい」という要望があります。実現は不可能ではありませんが、手間がかかって加工費が高くなる割に精度が出せないため弊社ではおススメしておりません。
以下、理由を説明します。
まず、先ほどの1/10円分と同じような大きさの長方形を用意するとします。
板が長方形であろうとテーパー管の形状に曲げるための曲げ線は変わりませんので、下図のようなケガキを描き入れることになります。
ここで、扇の板からテーパー当て板を曲げる場合と、長方形の板からテーパー当て板を曲げる場合の違いを見ていきます。
扇の板の場合、それぞれの曲げ線に注目すると、どの曲げ線をみても板の端面(パイプの口になる部分)と曲げ線がほぼ直交していることがわかります。(※扇は直線ではないので厳密には直交ではありませんが、無限に拡大していけば90度で交わっていると言えます。)
これらの曲げ線が3本ロールのシリンダーと常に平行になることを意識して曲げていくと、曲げ線に対して常に対称に曲がっているので、端と端が近づいてテーパー管の形状になっていきます。
一方で長方形の場合、板の真ん中のケガキ線で曲げる時は3本ロールのシリンダーと板の端面が直交しますが、それ以外の時は直交しないことがわかります。特に、板の端に行けば行くほど90°からずれていきます。
これらの曲げ線が3本ロールのシリンダーと常に平行になることを意識して曲げていくと、板はねじれるように曲がっていき、板の両端がくっ付くどころか逆に離れていってしまいます。
なお、今回わかりやすく説明できるように扇の板にも曲げ線を入れましたが、慣れてくると板を見れば扇の中心がどこなのか頭の中でイメージできるので(扇の両端の線が交わるところが中心)、ケガキ線もイメージできるようになってきます。そうなると、ケガキをしなくても曲げられるようになります。
一方で長方形の場合は、板を見てもどこが扇の中心なのかわからないので、寸法を計算して実際にケガキを入れる必要があります。
つまり、長方形の板でテーパー管の当て板を曲げようとすると、
① 板にケガキを入れるという余計な手間がかかる(コストが増える)
② ねじれが加わって上手く曲がらない(精度が出ない)
という問題が発生するのです。
以上から、弊社ではテーパー管の当て板を長方形の板で曲げることはおススメしておりません。しかしながら、精度は気にせず、曲げ加工費が増えてもレーザー切断費が増えるよりマシだというケースもあるかと思います。そのような場合にはご要望にお応えしておりますので、ご相談いただけますと幸いです。
「曲がった板を平らにしたいのですが、ロール曲げでできますか?」
このようなお問い合わせを時々いただくことがあります。
条件によっては可能です。
種明かしをしてしまいますと、下図のように板を裏返した状態で機械に入れることができればロール曲げで板を延ばして平らに近づけることができます。
理屈はこれだけです。同業他社が見ているかもしれないのにやり方を公開してしまって良いのかと心配される方もいらっしゃるかもしれません。ご安心ください。理屈は簡単ですが、実際にやるのは非常に難しいのです。普通のロール曲げは平らな板の状態から円筒状(またはアーチ状)に曲げます。この工程は単純な形状であればNC化できていて、自動機械も存在します。
一方ですでに変形した板を平らにする場合は、まず初期条件が不明です。どの程度曲がっているのか、一定のRで曲がっているのか、ねじれはないか、摩耗して板厚が薄くなっていないか、経年劣化で板の性質が変わっていないのか、など、挙げればキリがありません。
板を平らに伸ばす加工は、押した(曲げた)時の板の戻り具合を見ながら押す位置や量を調整したり、曲げる方向を変えたり、数値では表せない”カン”に頼った加工になります。いわゆる職人技と呼ばれるもので、自動化は不可能です(※)。
(※AIが発達すればセンサーと組み合わせることで実現可能かもしれませんが、ニーズに対して割に合わないので誰も開発しないと思われます。)
このように、板を平らに伸ばす加工は実際にやってみないとどこまで平らにできるのかわかりません。極端なことを言えば可否すらもお答えできないため、事前にお見積りすることも不可能です。できるとすれば”これ以上平らに近づくことはない”と判断できるまでの加工時間を見積もることぐらいでしょうか。
新品の板を曲げれば済む話ではありますが、このまま円安と資源不足が続いた場合、在庫不足で板がすぐ手に入らなかったり、高過ぎて予算オーバーになってしまったりといった事情で、既存の板を再利用したいというニーズが増える時代がやってくるかもしれません。
そのような時代に必要な技術力を山十佐野製作所は持っております。今後も社会の役に立てるよう自分たちの技術力を向上させ、またこの技術を次の世代に継承できるよう努力してまいります。
テーパー管(レジューサー/コーン)は形状によってロール曲げ可能です。陣笠は全く加工できません。
テーパー管がロール曲げ可能なので似たような形状の陣笠もロール曲げできるのではと思われることがありますが、機械の構造上不可能です。
まず、3本ロールでどのようにテーパー管を曲げているのかを説明します。下図をご覧ください。
2つめの画像は真横からみたところです。このように、トップロール(上のシリンダー)を傾けて小径側だけが強く曲がるようにして加工しています。
では同じ方法で陣笠を曲げようとするとどうなるでしょうか?わかりやすいようにトップロールを半透明にしてみました。
ご覧の通り、このままトップロールを下げると陣笠の頂点付近が曲がってはいけない方向に曲がってしまいます。したがって陣笠は3本ロールでは加工不可能です。
では同じテーパー管でも曲げられるものと曲げられないものの差はどこにあるのでしょうか?
テーパー管の小径を徐々に小さくしていくと、やがて直径Φ0mmに近づいて陣笠になります。可能・不可能の境目はそのどこかにあるはずです。テーパーロール曲げが不可能となる条件は以下の通りです。
条件1)小径にトップロールが入らない。
当たり前ですが、トップロールより小さな直径に曲げることはできません。(陣笠もこの条件に当てはまります。)
条件2)小径と大径の差が大きい。
差が大きければ大きいほど、小径側だけを強く、大径側を弱く曲げる必要がありますので、トップロールを大きく傾けなければなりません。しかし、機械の構造上、傾けられる角度には限界があります。
また、傾ければ傾けるほど機械に(油圧シリンダーに)高負荷がかかります。メーカーからは「通常の円筒の2倍~3倍の負荷がかかると考えてほしい」と言われています。曲げに必要な力は大雑把に板厚の2乗に比例しますので、テーパーロール曲げの可否を大雑把に調べたい時は、こちらのロール曲げ可否自動判定で板幅を実際の1.4(√2)倍~1.7(√3)倍で入力してみるという方法があります。ただ、残念ながら正確な可否判定は難しいというのが正直なところです。
弊社にお問い合わせいただいた場合は、過去の加工実績データベースから類似形状を一瞬で検索できるシステムも使って総合的に可否判断をしております。その結果、弊社の3本ロールで加工できないと判断した場合は、協力業者でのプレス曲げ(FR曲げ)でのお見積りを提案させていただいております。
全ての曲げ加工に対応することができず大変申し訳ございませんが、何卒ご了承いただけますと幸いです。