2025年8月2日土曜日

なぜ板が厚くて曲げ径が小さいとロール曲げできないのか?

せっかくロール曲げのお問い合わせをいただいたのに、「板厚に対して直径が小さ過ぎてロール曲げできません」とお応えすることがあります。

以前に直径が小さ過ぎてロール曲げできないという記事で、直径とロール曲げの可否の関係については説明しました。今回はここに板厚が絡むとどうなるのか、考えていきたいと思います。

まず、より小さい直径で曲げられるようにするには、トップロールの直径を小さくするしかありません。


ここで、3本ロールの構造をみてみます。機械の大小にかかわらず、大雑把に以下のような構造になっています。


トップロールの両端にシリンダーがあり、そこに力を加えることで板を曲げる仕組みです。いわゆる両端支持はりのような構造になっています。

ここで、より小さな直径を曲げるために、トップロールを細くして、さらに機械の力を強くしたらどうなるでしょう?



力は両端にしか加わりませんので、トップロールがしなってしまって、肝心の板への力は加わりづらくなります。

つまり、「より厚い板を曲げたい」と「より小さい直径を曲げたい」という2つのニーズを同時に満たすことはできないということです。



なお、同様に「より小さい直径を曲げたい」と「より幅の広い板を曲げたい」という2つのニーズも同時に満たすことができません。
なぜなら、力が両端にしか加わらないということは、中央付近には力がかからないということになり、結果として板全体が曲がらないからです。


最後に、ロール曲げではなくプレスブレーキ曲げではどうでしょう?
プレスブレーキはパンチに上から力が加わるようになっていますから、板に対して均等に力を加えることができます。したがって、ロール曲げと比べると、より厚い板をより小さい直径で曲げることが可能です。


このような特性を踏まえて、弊社ではロール曲げのご希望をいただいた案件でも、板厚に対して直径が小さ過ぎてロール曲げできない場合には、協力業者でのプレスブレーキ曲げで提案させていただくことがあります。
弊社でロール曲げできるかどうかはロール曲げ可否自動判定でもご確認いただけますので、ぜひご活用いただけますと幸いです。








2025年5月21日水曜日

片方の円周だけ開先を取ってからロール曲げできますか?

 「片方の円周だけ開先を取ってからロール曲げできますか?」

時々このような問い合わせをいただくことがあります。結論から申し上げますと、ロール曲げすること自体は可能ですが、過去の実績から、若干変形が出てしまう可能性があります。

例えば下図のように片方の円周だけ開先が取れているケースです。

過去、このような板をロール曲げした時に、下図のように隙間ができたしまったことがありました。

はっきりとした原因はわかりませんが、おそらく以下のような理屈だと思われます。


開先が取れているということは、そこだけ板厚が薄いのと同じことである

→ そちら側の方がスプリングバックが強いことになる

→ 開先の無い方がくっついた時、開先側はスプリングバックが強いのでまだくっつかない

  (=隙間があく)


3本ロールの構造上、これは防ぎようがありません。

また、隙間が許容範囲に収まるのかどうかも、曲げてみないとわかりません。

したがって、無難な案としては、開先無しでロール曲げして、円筒状に溶接してから旋盤等で削っていただく方法を提案しています。

なお、板厚が薄い場合はほとんど隙間ができません。

また、板の幅が広い場合も、隙間ができてしまっても仮止めで誤魔化せる可能性はあります。

ケースバイケースですので、ご相談いただけますと幸いです。

鏡板はロール曲げで作れますか?

 「鏡板はロール曲げで作れますか?」

時々お問い合わせいただく質問の一つです。結論から申し上げますとロール曲げでは加工できません。

3本ロール(ベンディングロール)によるロール曲げは、下図のように3本のロール(シリンダー)に板を挟み、回転させながらトップロールを押し込むことで円筒成形をしていきます。

ロール(シリンダー)が直線ですので、曲げ線が直線になる形状しか曲げられません。(この点に関してはプレスブレーキと同じです。)

それでは典型的なタンク部品である「鏡板」「直管」「テーパー管」で比較してみます。

これらのうち、鏡板だけは断面がR形状になっているため、ロール曲げでは加工できません。

断面がRの形状はプレス成型やへら絞り・スピニング加工で加工されます。これらの加工は弊社では対応できませんが、協力業者で対応することは可能です。

もしお困りの際にはお声掛けいただけますと幸いです。

2025年3月13日木曜日

非破壊試験技術者資格 超音波探傷試験レベル1(UT1)

 溶接の超音波探傷試験(UT、エコー検査)についての理解を深めるため、非破壊試験技術者資格の超音波探傷試験レベル1(UT1)を取得しました。

より一層お客様のお役に立つために、昨日よりも今日、今日よりも明日、小さくても一歩ずつ前進できるよう今後も努力を続けてまいります。

健康経営優良法人2025に認定されました

 この度、山十佐野製作所は健康経営優良法人2025(中小企業法人部門)として認定されました。

今後一層取り組みを推進してまいります。



2025年1月6日月曜日

謹賀新年

明けましておめでとうございます。

旧年中は大変お世話になり誠にありがとうございました。

本年も何卒よろしくお願いいたします。

2024年9月2日月曜日

板が薄すぎてロール曲げできない(スリップしてしまう)

 板が厚過ぎると機械の力が足りなくて曲げられなくなるのはイメージしやすいと思いますが、逆に板が薄過ぎてもロール曲げできません。


 メーカーの演算ソフトでは、

「荷重不足[トップロールがスリップする恐れがあります]」

というエラーメッセージが表示されます。


 このような場合、もし設計変更可能であれば、板厚を厚くする提案をさせていただいております。

 ロール曲げの可否は機械のスペックによって決まってしまうため、所有する機械によって加工可能範囲が制限されてご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承の程お願いいたします。

 なお、弊社のロール曲げ可否自動判定ページではご希望の板厚でのロール曲げ加工が可能かどうかを簡単に判定することができます。ぜひご活用いただけますと幸いです。