2024年2月12日月曜日

ロール曲げの裏表について

 以前に

(株)山十佐野製作所ブログ: ロール曲げ加工の(曖昧な)専門用語について (yamajusano.com)

で紹介した通り、ロール曲げ業界には曖昧な用語が多々あります。

今回はこの中で「表・裏」に注目してみたいと思います。

ロール曲げ加工は筒を作ることが多いので、一般的には下図のように「表」が筒の外側、「裏」が筒の内側を示すことが多いです。つまり、表面がRの外面で、裏面がRの内面となります。

では、下図のような製品の場合はいかがでしょうか?

青い面は製品の表面だと言えると思います。すると、先ほどとは逆で表面がRの内面です。

したがって、「板のこの面が表になるように」や「ケガキが表」等とご指示を受けても、Rの外面になるように曲げたらよいのか、Rの内面になるように曲げたらよいのか、曖昧さが残ってしまうので判断できません。

ロール曲げをご依頼の際には、ぜひ「Rの内面」「Rの外面」「内径面」「外径面」などの表記をご検討いただけますと幸いです。

2023年12月23日土曜日

年末年始休暇のお知らせ

2023年12月30(土)から2024年1月4日(木)までは年末年始休暇となります。

何卒ご了承の程よろしくお願い申し上げます。

2023年12月18日月曜日

切板・切断データ販売について

この度、山十佐野製作所は静岡県の令和5年度小規模企業経営力向上事業費補助金に採択され、最新のネスティングソフトウェアを導入し、本格的な切板・切断データ販売を開始いたしました。

すでに導入していた板金展開機能付きの3D CADソフトウェアとNCプラズマ切断機を活用し、お客様からいただいた図面から切断データを作成、そして定尺板から板を切断してご提供可能です。

また、展開切断データのみのご用命も承っております。多品種の際には、自動ネスティング機能を生かして必要母材枚数を自動的に計算もすることも可能です。(見積時に非常に便利です。)

山十佐野製作所は今後もお客様のお役に立てるよう積極的にデジタル化を進めてまいります。

2023年12月4日月曜日

厚板ロール曲げの展開寸法

ロール曲げ加工で円筒を製作するためには、まず曲げる前の板の寸法を計算する必要があります。これを展開(板金展開)と呼びます。

基本的な考え方は、「展開寸法=板厚の中心の円弧」です。

板を円筒状に曲げる時、板の外側は無理やり伸ばされた状態になり、逆に内側は縮まります。すると伸びもせず縮みもしないところがあるはずで、通常はそれが板厚のちょうど真ん中の部分です。これを中立線と呼びます。

中立線は曲げる前も曲げた後も同じ長さですから、この長さの板を曲げれば目的の円筒を作れることになります。つまり通常は「中立線=板厚の中心の円弧=展開寸法」です。

ただし、厚板ロール曲げの場合は特別に考慮しなければならない点が2あります。

1)板厚に対して曲げ半径が小さくなると、中立線が板の中心より内側に移動する。
2)両端部分は厳密には完全に曲がらないため、内角がぶつかる。

以下、1つずつ説明します。

1)板厚に対して曲げ半径が小さくなると、中立線が板の中心より内側に移動する。

朝倉健二氏の『塑性加工』(共立出版株式会社)によると、「曲げ半径と板厚の比率が5よりも小さくなると、中立線は内側に移動する」とあります。

例えば板厚40mmであれば、内R200よりも小さくなると、中立線が板の中心よりも内側に移動するということです。つまり、展開寸法は板の中心の円弧よりも短くなります。逆に言うと、板厚の中心の円弧で切断した板を曲げてしまうと、想定より大きな円筒が出来てしまうのです。

(厚い板を無理やりきつく曲げると板が伸びてしまう、と考えるとイメージしやすいかもしれません。弊社ではこの現象を通称「伸び」と呼んでいます。)

さて、理論的には曲げ半径と板厚の比率がいくつの時にどの程度中立線が内側に移動するのかがわかれば展開寸法を計算できることになりますが、残念ながらその移動値を正確に求める方法がありません。

そこで弊社では、「板厚何ミリで曲げRがいくつの時に中立線がどのぐらい内側に移動したのか」というデータを蓄積して、展開寸法の推測に役立てています。

2)両端部分は厳密には完全に曲がらないため、内角がぶつかる。

次に、ロール曲げは端まで完全に曲がるわけではないということも展開寸法に影響します。例えば板厚40mm、曲げ径Φ600で、板の端が板厚分だけ曲がらないとします。すると、ロール曲げ加工を行うと下図のように内角が先にぶつかってしまいます。


R/tは5以上ですので、中立線は板厚の中心と考えます。普通に計算すれば展開長は

板の中心の直径640mm x 3.1416 = 2010.6

です。しかし、この長さの板を曲げると、上図のように外周部分で10.68mm長い円筒が出来上がってしまうことになります。つまり、外径が想定よりも約3.4mm大きくなってしまうということです。(本来は外Φ680のはずが、外Φ683.4になってしまう。)

では、もしX開先の板でしたらどうでしょうか?


こちらの場合は、隙間5.34mm分縮まりますので、直径で約1.7mmの誤差です。(本来は外Φ680のところ、外Φ681.7。)

最後に、内開先の板の場合はどうでしょう?


こちらの場合は隙間が完全になくなりますので、長さ2010.6mmの板を曲げれば想定通りの直径になります。

このように、開先形状も展開寸法に影響するのです。

山十佐野製作所では、板の伸びや開先形状、さらに後工程の溶接や旋盤加工のことも考慮しながら展開寸法を推測しています。ただ、想定外に板が伸びてしまったり、逆に伸びなかったりしてしまうことがあるのも事実です。そのような時は、もし想定外に伸びてしまった場合には継目を削り、短過ぎてしまった場合にはルートギャップ(隙間)を空けることでご了承いただいております。

今後もデータやノウハウを蓄積し、できる限り正確な展開寸法の計算ができるように尽力してまいります。

2023年10月9日月曜日

3本ロールで曲げられる形状

 ものづくりにおいて最も重要なのは「曖昧さの無いコミュニケーション」です。いくら完璧に美しいものを作っても、いくら素早く完成させても、出来上がったものがお客様のほしいものと違ったら全く意味がありません。

 曖昧さの無いコミュニケーションを図るためには曖昧さの無いコミュニケーションツールが必要があり、その1つが図面です。したがって本来であればどのような時でも図面でやり取りをすることが望まれます。なぜなら、規格に則って図面を描けば曖昧さが無くなるようになっているからです。しかし現実には急いでいて電話やメールの文言だけでやり取りをすることもあります。

 例えば「厚み6mm、幅50mm、内Φ500」と聞いて、皆さんはどのような形状を思い浮かべますか? 考えられるのは以下の2通りだと思います。

 弊社のように普段3本ロールで曲げ加工をしている人間はAを思い浮かべる可能性が高いです。一方で普段レーザーで板を切っている方達はBを思い浮かべるかもしれません。つまり、「厚み6mm、幅50mm、内Φ500」という表現には曖昧さが残ってしまっています。

 さて、前置きが長くなりました。今回の記事の本題は、3本ロールで曲げられる形状についてです。前述のA、Bのうち、Aは3本ロールで曲げられますが、Bは曲げられません。

 Aの場合は板の6mmの部分を上下のロールでしっかりと挟んで固定しながら曲げることができます。一方でBの場合は板の50mmの部分を上下のロールで挟んでいる状態となり、非常に不安定です。そこで、Bは3本ロールでではなくリングフォーマー等と呼ばれる、シリンダーに溝が入った機械で加工されます。

 残念ながら弊社ではこの機械は所有していないため、外注での対応になってしまいます。

まとめ


1)「厚み6mm、幅50mm、内Φ500」のように言葉だけで形状を表現しようとすると曖昧さが残ってしまい、今回のケースで言えばAとBの2通りが考えられる。

2)Aは3本ロールで曲げられるが、Bは曲げられない(別の機械が必要)。


 最後にまた余談ですが、一般的にAの曲げ加工は「ロール曲げ」「円筒曲げ」「バンド曲げ」「板巻き」、Bの曲げ加工は「フランジ曲げ」「リング曲げ」等と呼ばれます。ただ、この記事の中で敢えてこれらの呼称を使わなかったのは、人によって定義が違っていて、例えばBの形状を「ロール曲げ」と呼ぶ方がいたりするからです。

 人間は思い込みの生き物です。自分が発注する時も受注する時も、

「自分が普段使っている言葉は本当に一意に定義されているのか?」

「規格として定義されているのか? 辞書で定義されているのか?」

「表現に曖昧さは残っていないか?」

と常に考えることを目指していきます。

2023年7月25日火曜日

夏季休業日のお知らせ

山十佐野製作所の夏季休業日は

2023年8月11日(金)~2023年8月16日(水)

となります。何卒よろしくお願いいたします。

2023年7月1日土曜日

ロール曲げ可否自動判定APIの無償公開

山十佐野製作所のロール曲げ可否自動判定で使用しているAPIを無償公開いたします。

認証について

APIの認証にはGoogle Firebaseを使っています。

最初にhttps://yamaju-api.de.r.appspot.com/にアクセスしてAPIアカウントを作成し、APIキーを取得してください。

APIの使用方法

https://yamaju-api.de.r.appspot.com/v1/plbend にGETリクエストを送信することで利用することができます。

パラメータ

ys: yield strength / 降伏点・0.2%耐力

ベンディングロール機械メーカーから提供された値を使用しています。

製鉄メーカーの仕様書の機械的性質とは異なりますのでご注意ください。

今のところサポートしているのは以下の値です。(アルファベット順)

A1050255
A5052294
A5083294
C1020255
C1100255
C2801412
HITEN590637
HITEN780872
HITEN980872
S-TEN1255
S-TEN2352
S45C392
S50C415
SA-387 Gr11 CL2552
SB410343
SB450372
SB450M392
SB480392
SB480M411
SGV410343
SGV450372
SGV480392
SLA235A275
SLA325352
SLA360392
SLA410450
SM400323
SM490392
SM490Y412
SM520412
SM520C412
SM570510
SMA400323
SMA490392
SMA570510
SPHC294
SPV235255
SPV315352
SPV355392
SPV410450
SPV450490
SPV490540
SS330255
SS400255
SS490343
SS540431
SUS304294
SUS310S294
SUS316314
SUS316L268
SUS329J3L659
SUS329J4L645
SUS444441
TP270255
TP340314
WEL-TEN590RE637

t: thickness / 板厚

サポートされている板厚は以下の通りです。

1.6
2
2.3
2.5
3
3.2
4
4.5
5
6
8
9
10
12
14
15
16
18
19
20
22
25
28
30
32
35
36
38
40
45
50
55
60
65
70
75
80
85
90
95
100

h: height / 高さ(円筒の長さ)

高さ(円筒の長さ)を正の整数で指定してください。(弊社で一番大きな機械の幅が3mなので、それ以上の値を入れても不可の判定しか出ません。)

d: diameter / 直径(内径Φ)

曲げ径を正の整数で指定してください。

a: angle / 曲げ角度

R曲げを判定したい場合、曲げ角度を0 < a < 360で指定してください。

(例えば半円曲げの場合は180)

円筒曲げ(1周)の場合は省略してください。

scf: spring back coefficient / スプリングバック係数

スプリングバックが激しい材質の時に任意で0 < scf < 1の値を指定してください。

例えば弊社ではチタンの場合に0.6と指定しています。

key: API Key

取得したAPI Keyを指定してください。

API Keyを忘れてしまった場合はhttps://yamaju-api.de.r.appspot.com/にログインして確認できます。

返り値

5種類の機械での可否判定がJSON配列として返ってきます。

1台ごとに、端曲げができるか、余長付きなら曲げられるか、幅が広過ぎないか、弧長が短過ぎないか、がtrueかfalseで示されています。機械の順番は以下の通りです。

1台目:MP230-2230

2台目:MJ25-0315

3台目:MP230NC-6005S

4台目:MP100-1130

5台目:MJ30TNC-0525

APIの使用例

例えば

SS400 t4.5 内Φ500 高さ800 のロール曲げ可否を調べたい場合は、

https://yamaju-api.de.r.appspot.com/v1/plbend?ys=255&t=4.5&d=500&h=800&a=&scf=1&key=[取得したAPI Key]

にリクエストを送ると、

[[false,false,false,false],[false,true,false,false],[false,false,true,false],[true,true,false,false],[true,true,false,false]]

という値が返ってきます。これは、

1台目:MP230-2230

端曲げ×、余長付き曲げ×、幅は大丈夫、弧長も大丈夫 → 不可

2台目:MJ25-0315

端曲げ×、余長付き曲げ〇、幅は大丈夫、弧長も大丈夫 → 余長付きなら可

3台目:MP230NC-6005S

端曲げ×、余長付き曲げ×、幅が広過ぎて機械に入らない、弧長は大丈夫 → 不可

4台目:MP100-1130

端曲げ〇、余長付き曲げ〇、幅は大丈夫、弧長も大丈夫 → 可

5台目:MJ30TNC-0525

端曲げ〇、余長付き曲げ〇、幅は大丈夫、弧長も大丈夫 → 可

という判定です。

最後に

元々は町工場が自社サイト用に片手間で作ったものですので、至らない点が多々あるかとは思いますが、無償公開ということでご理解いただけますと幸いです。

人手不足の時代となり、設計や見積りにますます自動化が求められると考えています。そのような中で、ロール曲げに関する効率化の一助となればと思い、無償公開に至りました。使用方法で不明な点があればお問い合わせいただけますと幸いです。