2024年7月27日土曜日

スクリュー羽根はロール曲げできますか?

 コンベアスクリュー等の羽根をロール曲げ加工できるかという問い合わせをよくいただきます。残念ながらロール曲げでは加工できません。

ただ、地元にスクリュー羽根曲げを得意としている協力業者があります。

こちらは以前に加工していただいた時の写真です。


薄いものや小さいものはオンラインで注文できるサイトもあると思いますが、それらで対応できないような形状でもしお困りの際にはお問い合わせいただけますと幸いです。

反ってしまった板をロール曲げで平らにできますか?(対応不可)

 「パンチング加工をしたら板が反ってしまった」「溶接をしたら熱で板が反ってしまった」などの理由で、ロール曲げで平らにできないかという問い合わせをいただくことがあります。

残念ながらこれらの反り/歪み修正をロール曲げで行うことはできません。

パンチングや溶接で反ってしまった板は、極端に言えば下図のような変形をしています。


理屈では、凸になっている箇所を押せば平らに近づいていくはずです。しかし、ロール曲げはシリンダーで押す機械なので、”1点だけ”を押すことができません。つまり凸になっている箇所以外も一緒に押してしまうことになってしまうので、平らにすることは不可能です。

なお、上図のように変形してしまったということは、平らな時と比べて表面積が変わっています。体積は変わらないはずですので、おそらくその分だけ板厚が薄くなっているのだと推測されます。(麺の生地を棒で延ばすようなイメージです。)したがって、仮にロール曲げ以外の方法(例えば製缶プレス)で平らにできたとしても、元の板よりサイズが大きくて板厚が薄くなっていることは想定しておいた方が良さそうです。

S字にロール曲げできますか?

 3本ロールでS字にロール曲げすることは可能です。ただし、形状によります。

S字にロール曲げするには、一部をロール曲げした後に、板を裏返して曲げることになります。

3本ロールの構造上、先に曲げたところの一部に逆向きの力が加わって、板が伸びる(Rが緩くなる)ようになってしまいます。

板が厚くなればなるほどRの誤魔化しが効かなくなるので、S字ロール曲げが困難になります。逆に板厚が薄ければほとんど気にならないレベルに収まることが多いです。以下は以前に山十佐野製作所で加工したS字ロール曲げの写真です。


有名靴ブランドのショップの展示棚として使用されています。

板厚、サイズ、曲げ径などの形状にもよりますが、山十佐野製作所ではS字ロール曲げも可能ですのでぜひご相談ください。


溶接した円筒を持ち込んでリロール(真円矯正)してもらうことは可能ですか?

 溶接の熱歪みで変形してしまった円筒をロール曲げでリロール(真円矯正)することは可能です。例えば以前にSUS329J4Lの溶接をしたら継目が尖ってしまって困っているというお客様からご依頼を受けてリロールのみを行いました。

矯正前
矯正後

ただ、持ち込みリロールに関しては何点か条件が付いてしまいます。

・変形具合と要求される真円度によっては対応できないこともあります。

・完全に直るという保証ができず、加工時間の予想も難しいため、見積りが非常に困難です。

ロール曲げ加工は基本的には時間チャージですので、”それ以上時間をかけても真円度が高まる可能性は無いであろう”という加工時間を予想してお見積りするしかありません。たまに「グルグル回していれば真円になるんじゃないの?」と言われることがありますが、残念ながらもっと複雑な職人技が必要となります。

いびつな円を真円にするには、単純に言えば「本来よりRが大きい(曲がりが緩い)箇所を探して円の内側から押す」を繰り返せば真円に近づいていくはずです。

これを3本ロールで行おうとすると下図のようになります。

トップロールで内側から押す力と、ボトムロール2本で外側から押す力は同じなので、下図のようになります。
つまり、本来よりRが大きい(曲がりが緩い)箇所を曲げようとして内側から押すと、その両側が緩くなってしまうのです。実際には、この現象を見越して板の曲がり具合を見ながら少しずつ位置を変えながら押していくことになります。やみくもにグルグル回すだけでは永遠に終わらないことがご理解いただけるとかと思います。

山十佐野製作所では自社で溶接したものをリロールすることもあるので、豊富な実績があります。もし想定外に溶接後の歪みがひどくてどうしても困ってしまったという場合はご相談いただけますと幸いです。

2024年7月10日水曜日

直径が小さ過ぎてロール曲げできない

 ロール曲げが不可能となる条件はいくつかありますが、そのうちの1つが「直径が小さ過ぎてロール曲げできない」です。

 弊社ではサイズ違いのベンディングロールを6台所有しております。小さな機械は直径が小さい円筒が曲げられる代わりに力が弱いので厚い板が曲げられなかったり、逆に大きな機械は力は強くて厚い板が曲げられる代わりに小さい直径に曲げられなかったりするため、製品形状によって使い分けています。



 当然ながらトップロールより小さい直径には曲げることができません。

 
 なお、弊社のロール曲げ可否自動判定ページでは、ご希望の寸法のロール曲げ加工が可能かどうかを簡単に判定することができますので、ご活用いただけますと幸いです。





板が短過ぎてロール曲げできない

 ロール曲げが不可能となる条件はいくつかありますが、そのうちの1つが「板が短過ぎてロール曲げできない」です。

 弊社ではサイズ違いのベンディングロールを6台所有しております。小さな機械は直径が小さい円筒が曲げられる代わりに力が弱いので厚い板が曲げられなかったり、逆に大きな機械は力は強くて厚い板が曲げられる代わりに小さい直径に曲げられなかったりするため、製品形状によって使い分けています。

 3本ロールは以下の写真のように上に1本と下に2本のシリンダーで構成されます。上のシリンダーはトップロール、下のシリンダーはボトムロールです。これらのシリンダーの直径や、2本のボトムロールの間隔は各機械によって違います。


 さて、板が短過ぎると、下図のようにボトムロールに板が”架からない”状態になってしまいます。そうなりますと板が落ちてしまって曲げることができません。

 このような場合には、板を長く伸ばした状態で曲げて、後で切断することを提案しております。


ただし、製品によってはこのような方法をとるのが難しい形状であることもあり得るため、そのような場合には短い板のまま協力業者のプレスブレーキで曲げてもらうことを提案しております。
 なお、弊社のロール曲げ可否自動判定ページでは、板が短過ぎないかどうかも含めてロール曲げできるかどうかを簡単に判定することができますので、ご活用いただけますと幸いです。


機械の力が足りなくてロール曲げできない

 ロール曲げが不可能となる条件はいくつかありますが、そのうちの1つが「機械の力が足りなくてロール曲げできない」です。

 弊社ではサイズ違いのベンディングロールを6台所有しております。小さな機械は直径が小さい円筒が曲げられる代わりに力が弱いので厚い板が曲げられなかったり、逆に大きな機械は力は強くて厚い板が曲げられる代わりに小さい直径に曲げられなかったりするため、製品形状によって使い分けています。

 ロール曲げに必要な力はプレスブレーキで曲げる時に必要な力と同じように考えることができます。

詳しくは『「端だけ曲がらない」のはなぜ? ロール曲げに必要な力とは」』で説明していますが、パラメータは以下の4つです。

①板の降伏点

②板厚

③板幅

④曲げ径

 これらの組み合わせによって、機械の力が足りるかどうかが決まります。また、弊社のロール曲げ可否自動判定ページを使えば、ご希望のサイズを弊社でロール曲げできるか簡単に判定することができますので、ご活用いただけますと幸いです。

 もしご希望の形状に曲げられない場合には、①降伏点の低い材質に変える、②板厚を薄くする、③板幅を狭くする、④曲げ径を大きくする、を行うと曲げられるようになる可能性があります。設計上、①材質や②板厚、④曲げ径を変更できることはあまり多くありませんので、現実的には③の板幅変更、つまり幅の分割を提案することがほとんどです。どうしても板の分割ができない場合には、協力業者のプレスブレーキによる曲げ加工を提案させていただいております。