2024年3月30日土曜日

丸棒はロール曲げで曲がりますか?

「 丸棒はロール曲げで曲がりますか?」というのもよくあるお問い合わせの一つです。

ロール曲げでも加工可能ですが、ねじれが出てしまうのは防げないため要求精度によります。

以下、図で説明していきます。

3本ロールでも丸棒を板と同じように曲げることはできます。

ここで、丸棒とボトムロールが接しているところを断面図で見てみます。

板と違い、丸棒の断面は円ですので、ボトムロールと接しているのが”点”でしかありません。

接地面積が小さいので摩擦が少なく、曲げている最中にアッチへ行ったりコッチへ行ったり、ずれながら曲がってしまいます。これがねじれの原因です。

(※余談:板曲げの場合はボトムロールと”面”で接しますが、板幅が狭くなるほど設置面積が小さくなるため同様にねじれやすくなります。)

以上のような背景があり、弊社では「多少ねじれていても製品状問題ない」「ねじれは製缶溶接の腕で矯正できるのでノークレーム」といった場合のみお引き受けさせていただいております。

何卒ご了承の程お願いいたします。


GAEのPHP5からPHP8への移行について

先日、GAE(Google App Engine)で急にデプロイできなくなってしまったので原因を調べてみると、PHP5のサポートが終了してしまったことが原因でした。

GAEのPHP5からPHP8に移行するには、app.yamlとフロントコントローラー、それと一部の関数を変更する必要があります。

app.yamlとコントローラーについては多くの情報があったのですぐに対応方法がわかりましたが、関数のところでハマってしまいました。具体的にはmail関数です。

GAEのPHP8でmail関数を使うには以下の手順が必要となります。

1)公式サイト等を参考にapp.yamlとフロントコントローラーを適切に変更。

2)gcloud components update

でgcloudを最新に更新。

3)ソースコードのディレクトリのトップで

composer require google/appengine-php-sdk

を実行。(vendorディレクトリとconposer.jsonが生成される。)

4)php.iniを追加して以下を記述

extension = mailparse.so

sendmail_path = "php ./vendor/google/appengine-php-sdk/src/Runtime/SendMail.php -t -i"

GAEでPHP5からPHP8へ移行する際、mail関数を使用している場合の参考になれば幸いです。


2024年3月26日火曜日

奨学金返還支援制度について

 向上心があって頑張る人と一緒に仕事をしたいという想いを込めて、田舎の小さな町工場ではありますが、顧問契約している社労士の先生と一緒に奨学金代理返還支援制度を制定して労働基準監督署へ届け出ました。

 これは独立行政法人日本学生支援機構の制度を活用したもので、同機構のウェブサイトで掲載もされています。

企業の奨学金返還支援(代理返還)制度検索結果(静岡県 製造業)

 制度の概要としては、入社後12か月に達した時に最初の代理返還を行います。上限は5回で年齢制限はありません。その他の詳細は就業規則に規定されていますのでお問い合わせください。

 なお、奨学金代理返還制度とは別にリスキリング支援制度も規定してあります。奨学金代理返還支援制度と同時には利用できませんが、終了後に利用することは可能です。

 山十佐野製作所は学び続ける人を応援し、一緒に仕事をできることを願っています。

製缶板金の仕事に興味のある方はこちら

3Dデータの仕事に興味のある方はこちら


2024年2月12日月曜日

ロール曲げの裏表について

 以前に

(株)山十佐野製作所ブログ: ロール曲げ加工の(曖昧な)専門用語について (yamajusano.com)

で紹介した通り、ロール曲げ業界には曖昧な用語が多々あります。

今回はこの中で「表・裏」に注目してみたいと思います。

ロール曲げ加工は筒を作ることが多いので、一般的には下図のように「表」が筒の外側、「裏」が筒の内側を示すことが多いです。つまり、表面がRの外面で、裏面がRの内面となります。

では、下図のような製品の場合はいかがでしょうか?

青い面は製品の表面だと言えると思います。すると、先ほどとは逆で表面がRの内面です。

したがって、「板のこの面が表になるように」や「ケガキが表」等とご指示を受けても、Rの外面になるように曲げたらよいのか、Rの内面になるように曲げたらよいのか、曖昧さが残ってしまうので判断できません。

ロール曲げをご依頼の際には、ぜひ「Rの内面」「Rの外面」「内径面」「外径面」などの表記をご検討いただけますと幸いです。

2023年12月23日土曜日

年末年始休暇のお知らせ

2023年12月30(土)から2024年1月4日(木)までは年末年始休暇となります。

何卒ご了承の程よろしくお願い申し上げます。

2023年12月18日月曜日

切板・切断データ販売について

この度、山十佐野製作所は静岡県の令和5年度小規模企業経営力向上事業費補助金に採択され、最新のネスティングソフトウェアを導入し、本格的な切板・切断データ販売を開始いたしました。

すでに導入していた板金展開機能付きの3D CADソフトウェアとNCプラズマ切断機を活用し、お客様からいただいた図面から切断データを作成、そして定尺板から板を切断してご提供可能です。

また、展開切断データのみのご用命も承っております。多品種の際には、自動ネスティング機能を生かして必要母材枚数を自動的に計算もすることも可能です。(見積時に非常に便利です。)

山十佐野製作所は今後もお客様のお役に立てるよう積極的にデジタル化を進めてまいります。

2023年12月4日月曜日

厚板ロール曲げの展開寸法

ロール曲げ加工で円筒を製作するためには、まず曲げる前の板の寸法を計算する必要があります。これを展開(板金展開)と呼びます。

基本的な考え方は、「展開寸法=板厚の中心の円弧」です。

板を円筒状に曲げる時、板の外側は無理やり伸ばされた状態になり、逆に内側は縮まります。すると伸びもせず縮みもしないところがあるはずで、通常はそれが板厚のちょうど真ん中の部分です。これを中立線と呼びます。

中立線は曲げる前も曲げた後も同じ長さですから、この長さの板を曲げれば目的の円筒を作れることになります。つまり通常は「中立線=板厚の中心の円弧=展開寸法」です。

ただし、厚板ロール曲げの場合は特別に考慮しなければならない点が2あります。

1)板厚に対して曲げ半径が小さくなると、中立線が板の中心より内側に移動する。
2)両端部分は厳密には完全に曲がらないため、内角がぶつかる。

以下、1つずつ説明します。

1)板厚に対して曲げ半径が小さくなると、中立線が板の中心より内側に移動する。

朝倉健二氏の『塑性加工』(共立出版株式会社)によると、「曲げ半径と板厚の比率が5よりも小さくなると、中立線は内側に移動する」とあります。

例えば板厚40mmであれば、内R200よりも小さくなると、中立線が板の中心よりも内側に移動するということです。つまり、展開寸法は板の中心の円弧よりも短くなります。逆に言うと、板厚の中心の円弧で切断した板を曲げてしまうと、想定より大きな円筒が出来てしまうのです。

(厚い板を無理やりきつく曲げると板が伸びてしまう、と考えるとイメージしやすいかもしれません。弊社ではこの現象を通称「伸び」と呼んでいます。)

さて、理論的には曲げ半径と板厚の比率がいくつの時にどの程度中立線が内側に移動するのかがわかれば展開寸法を計算できることになりますが、残念ながらその移動値を正確に求める方法がありません。

そこで弊社では、「板厚何ミリで曲げRがいくつの時に中立線がどのぐらい内側に移動したのか」というデータを蓄積して、展開寸法の推測に役立てています。

2)両端部分は厳密には完全に曲がらないため、内角がぶつかる。

次に、ロール曲げは端まで完全に曲がるわけではないということも展開寸法に影響します。例えば板厚40mm、曲げ径Φ600で、板の端が板厚分だけ曲がらないとします。すると、ロール曲げ加工を行うと下図のように内角が先にぶつかってしまいます。


R/tは5以上ですので、中立線は板厚の中心と考えます。普通に計算すれば展開長は

板の中心の直径640mm x 3.1416 = 2010.6

です。しかし、この長さの板を曲げると、上図のように外周部分で10.68mm長い円筒が出来上がってしまうことになります。つまり、外径が想定よりも約3.4mm大きくなってしまうということです。(本来は外Φ680のはずが、外Φ683.4になってしまう。)

では、もしX開先の板でしたらどうでしょうか?


こちらの場合は、隙間5.34mm分縮まりますので、直径で約1.7mmの誤差です。(本来は外Φ680のところ、外Φ681.7。)

最後に、内開先の板の場合はどうでしょう?


こちらの場合は隙間が完全になくなりますので、長さ2010.6mmの板を曲げれば想定通りの直径になります。

このように、開先形状も展開寸法に影響するのです。

山十佐野製作所では、板の伸びや開先形状、さらに後工程の溶接や旋盤加工のことも考慮しながら展開寸法を推測しています。ただ、想定外に板が伸びてしまったり、逆に伸びなかったりしてしまうことがあるのも事実です。そのような時は、もし想定外に伸びてしまった場合には継目を削り、短過ぎてしまった場合にはルートギャップ(隙間)を空けることでご了承いただいております。

今後もデータやノウハウを蓄積し、できる限り正確な展開寸法の計算ができるように尽力してまいります。