「片方の円周だけ開先を取ってからロール曲げできますか?」
時々このような問い合わせをいただくことがあります。結論から申し上げますと、ロール曲げすること自体は可能ですが、過去の実績から、若干変形が出てしまう可能性があります。
例えば下図のように片方の円周だけ開先が取れているケースです。
過去、このような板をロール曲げした時に、下図のように隙間ができたしまったことがありました。
はっきりとした原因はわかりませんが、おそらく以下のような理屈だと思われます。
開先が取れているということは、そこだけ板厚が薄いのと同じことである
→ そちら側の方がスプリングバックが強いことになる
→ 開先の無い方がくっついた時、開先側はスプリングバックが強いのでまだくっつかない
(=隙間があく)
3本ロールの構造上、これは防ぎようがありません。
また、隙間が許容範囲に収まるのかどうかも、曲げてみないとわかりません。
したがって、無難な案としては、開先無しでロール曲げして、円筒状に溶接してから旋盤等で削っていただく方法を提案しています。
なお、板厚が薄い場合はほとんど隙間ができません。
また、板の幅が広い場合も、隙間ができてしまっても仮止めで誤魔化せる可能性はあります。
ケースバイケースですので、ご相談いただけますと幸いです。